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サバ(雌)。太平洋に浮かぶ小さな島で生まれる。上京後、コギャル系ローマ人を経てVIPPERへ。英語コンサルタントの顔も持つ。"qちゃん"という子猫を飼っている。 趣味は自作自演。japanese_sabaアットlive.jp


by kyonkoenglish

「同じことを繰り返さないために」(Sさんへ)

久々に嬉しいニュースを聞いた。

イスラエルに、アラブ人との共存をテーマとした学校が作られたというのだ。テレビでちょっと聞いただけなので確かではないが、「建国60周年を記念して」と言っていたから政府がやっているのだろう。そこに大きな意味がある。その学校で、子供たちはヘブライ語とアラビア語の2言語で教育される。そして「同じことを繰り返さないこと」をしっかり教えられるというのだ。

学生時代、パレスチナ問題を追っていたが、2年ほどでぱたりとやめてしまった。「憎しみの連鎖、同じことの繰り返し」に参ってしまったのである。

New York Timesは思いっきりイスラエル寄りの新聞だが、アラブとの和解が進んだ、という記事が載ると、翌日にはそれに反対するアラブ人のテロで多くのイスラエル人が死んだ、という記事が追いかける。毎日、毎日、毎日、毎日、同じことの繰り返しであった。とても悲しかった。もうやめようよ、と言いたくなった。

だが、肉親を殺されて相手を恨む心に、アメリカや日本やEU諸国が、何を言えるだろうか。聖地イェルサレムにどれほどの想いがあるのか、私たちに想像できるだろうか。

これは、第三者が介入して片付けられる問題ではない。それが私の結論だった。これから何十年も何百年もかけて、彼らが少しずつ歩み寄り、若い世代に憎悪を受け継ぐのではなく、「繰り返さないこと」を教育することによってしか、平和は訪れないだろうと。

ロンドンで私は何人かのイスラエル人、アラブ人に会い、それぞれの想いを聞いた。彼らは笑顔で言った。多くの人は、相手のことをまったく恨んでいない、共存したいと思っている、と。

これはパレスチナ問題に限ったことではないが、国家の敵、は政府が意図的に作り出して政治に使うことが多い。パレスチナ問題に関してはアメリカの大統領やユダヤ人富豪が絡んでくるため、ますます複雑になってくる。アラブ側も、そもそも一つにまとまっているわけではないから教育などできたものではない。紛争や対立は突き詰めると「教育」が大事だという結論になるのだが、それはとても難しいし時間がかかる。

そう思っていたため、イスラエルで幼い子供たちの教育が始まったというのは明るいニュースであった(イスラエル政府のポーズであることも十分考えられるが)。イスラエルの政局によってこの取り組みは廃止されるかもしれないし、アラブ側の動きによっては、また振りだしに戻るのかもしれない。だが、「歩み寄り」の第一歩は少なくとも踏み出されたのである。

イスラエル建国60周年は、パレスチナ人にとって、およそ70万人が難民となった「ナクバ(大破局)」60年の節目となる。改めてこの問題と向かい合い、彼らの「繰り返し」が一刻も早く止むことを願うばかりである。
by kyonkoenglish | 2008-05-15 07:09